2009年6月22日 (月)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.77

「なんだかカップヌードルが恐ろしく郷愁をそそるぜ。
ブヒン、たまげたもんだぜ!地球上でこのコンビニだけだぜ!こんななってもまだ営業状態をたもっているとはな!
アチ!おれは猫舌なんだ、冷めてふやけたヌードルがここで食えるとはまったくありがたいよ。
旦那に感謝だ。
それにしても、地上の文明で残るのは唯一犬の旦那のこの一店舗だけか!
独占だぜ。ブヒ、まいったな。」
「そう!まったく一軒だ!それもこんな状況でもだ!そんなこともありえる。」椰子男は土ブタの言葉に神妙にうなずいた。
「人類の残したものはコンビニ一軒だけということか!」
長老があきれて嘆いた。

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2009年6月10日 (水)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.76

「ブヒン、人類のバカでみんな死に絶えちまったんだが、この付近に生き物がなんぼか残ったようだ。
金の価値はまだ通用するのか?へへ、俺はこのヌードルを食いたいがいくらだ?」
土ブタは店員に声をかけた。
「お金は使えません。ヌードルは差し上げますが水の値段は500酸素です。まいどありー。」
どうやら喋り方から店員は人間ではない。
「犬萬開発のアヌビス型進化系の人工知能ロボットだ。こいつは霊界の案内も出来るしミイラも作れるぞ。」
長老がロボットの心臓を読んだ。
「ほほう、知らなかった!社長でも知らんことばかりだな会社というのは。」
犬治郎は頭を掻いた。

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2009年6月 8日 (月)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.75

一機の未確認飛行物体が信じられない速度で南極上空を飛行した。
そのUFOは極点付近の空に静止すると、緩やかな回転をしながら徐々に降下してきた。
地上二十メートルほどに静止するとコンビニの屋根に光線が当てられ、その屋根部分が丸く融解してUFOの中から人型のモノが4人店内に降りた。

「いらっしゃいませえ。」
店内には普通のコンビニと変わることのない声が店内に響いた。
「驚いたな、ここは開店しておる。」
長老はギョロリと当たりを見回して煙草に火を着けた。
「ブヒ、俺は人類はてっきり全部滅亡したと思っていたぜ、これは夢だろ?」
普段人事には動じない土ブタも疑問符を吐いた。
「いーや、俺の経験じゃこんな時に開いているのがコンビニなんだよ。そこを常に口をすっぱくして俺は言ってきた。」
犬治郎はこともなげに言い放った。
「おもしろいな!」
目玉を丸くして天井の穴の空を見上げていた椰子男がにっこりした。


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2009年6月 4日 (木)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.74

いったいどうなってるのだろうか?
すでにこの世界に懸念された核戦争が起こってしまっていた。

人類はほとんど99.999%の人間が一瞬にして死に絶えてた。
まさか、そんな愚かな事にはならないだろうという甘い予想は、容赦なく破壊されていた。
ほとんどの地上生物の生存が瞬間にして地球上から消滅してしまった。
地球は、子を失った母のごとく気が狂ったように荒れ狂い始めた。
地表は暗雲に包まれ、気象はバランスを崩して、陸地は言い表せないほどに激情の坩堝と化した。

もはや極地といえどもその激情は免れない。
二千四百時間後には、逃げ延びた戦争当事者らの姿もひとっこひとり見えなくなっていた。
地表に動物の姿をしたものは犬の子一匹見えなくなった。
そこには変わり果てた、まったくの異様に動く気象と物質という以外表現のしようのない世界が広がっていた。

あの自動開店したコンビ二はいったいどうなったのだろう?

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2009年6月 2日 (火)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.73

支離滅裂な展開はいよいよ極まった。
この世界は何処かが狂っているのだ。
犬萬ホールディングスの持つ清浄な空気を、奪い合うように高額で入手した各国の会社や金持ち達はすでに遅かったのかもしれなかった。
細菌兵器が秘密裏に使用され、それに反応して、最後のとどめの相互の核兵器が人類をめちゃくちゃな状態にした。
悲劇が突然主要な大陸にやってきた。暗雲が極地を除き地球を幾重にも取り巻いて気象は激変した。
ほとんどは遅かった。
ほんの一部の戦争当事者の首脳や軍部の将軍たちだけが汚染の届かない極点に逃げ延びていた。
南極の極点付近の空気は今や汚染を免れた唯一の地球の空気となっていた。
この世界では、犬萬ホールディングスの分析は非情にもズバリ事実となっていたのである。
地球という星は、まったく取り返しのつかないほどの悪の気配に充ちてきていた。
自分だけがそれでも生き残るという壮絶な戦いが極点ではついに始まった。
犬萬ホールディングスの極地ショップのコンビニは自動開店し営業を始めた。

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2009年5月28日 (木)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.72

犬治郎はおもってもみない行動に出た。
各国の首脳元首に途方も無い権利を売り出したのである。
何の?
それは、南極の空気の使用権である。
しかも膨大な価格で限定100セット売りに出したのである。
しかし、あっという間にすべて完売してしまった。
一見ふざけているとしか思えないものだが、
先を争うように大国の首脳が買いあさって権利はあっという間に売り切れてしまった。
いったい何者が何の目的で買うのか?
軍事目的であるのか?国の予算の半分にもあたる数十兆も支出した国もある事であきらかだ。

なぜそのようなものが売れたのか?
ここにいつまでも人類が愚昧の秘密が隠れていたのである。

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2009年5月27日 (水)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.71

犬治郎は犬萬ホールディングスのネットワークを使って緊急の物資供出を始めた。
世界一の大商社の世界中の物資はある一点に向かってとんでもない勢いで集結を始めた。
すべて無償の大放出だ!
金銀ダイヤモンド、石油を始め、品物、エネルギー、食物、鉄道など、およそ考えられる取引されるものである!それらがある一点に集結すると、必然的に金融機能、麻薬、兵器、美術品、などの取引、も驚くべき速さで付随してきた。
各国の元首クラスはコントロール不能事態に、非常事態を宣言し、もてる軍事力の総動員をかけた。

犬治郎はいよいよ勝負に出たのだ。

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2009年5月21日 (木)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.70

「企業ができるのか分からんが、こんな時のんきに金を稼いでる状況ではない。
他人の不幸もまさに自分の事だ。
犬萬ホールディングスの全ネットワークで、接続する全部のコンピュータをシナジーの基本解析に使うのだ。」
「ブヒ!旦那、何だい、そのシナジーって?」
「俺にも分からん。だが、最も最初を見抜くということだろう。要するに専門家になど任せておけるかって事だ!自分で出かけて、自分で見るんだ。」
「シナジーとは幾何学だ。相乗効果の事だが、むふっ、シンプルな原理がすべてを決定しているという事じゃな。」
長老が紫煙を燻らせてつぶやいた。
「世界が同時に無いという事だよ。貿易はここに生まれる。俺はこれに気づいて俺の商社を短期間に世界一のものに出来た。同時で均一なのは考えたやつの頭の中だけだ。」

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2009年5月19日 (火)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.69

ますますいいかげんとも言える展開は、地球最後の日も、宇宙の終焉もお呼びでない。
しかし、この、真面目だという言葉ほど犬治郎の的を得ていた。
思い立ったら黙っておれない犬治郎は、犬萬ホールディングスの総力を挙げて地球の危機に挑みかかったのだ!
「ちくしょう!犬萬の誠意の元をただせば、死者から得られた何とも言えん報酬だ。
この期に及んで全力を出さんでどうする!地球一つも救えぬのか?犬萬ホールディングスは?」
企業が金の糸目をつけぬ全力を出し切った時がどうなるかは、予測を凌いだ事となった。

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2009年5月15日 (金)

ネダイエレナ ミリンナボン(他人の不幸は…)No.68

椰子男は突然歌い、半回転でラテンのステップをきめた。
「とにかく力を抜きましょう。ほら、次のことを考えなければこんなに生き生きだよセニョール。」
「…!そういうことか!わかった、椰子男。俺は踊る、わはは、踊るよ。」
犬治郎は、三回続けて間抜けなターンをした。
「わはは、なんだかばかばかしいが、おもしろい。ブヒ。」
「へたくそな若いものに、任せておけんな!」
長老のへっぴりごしが腰を振り始めた。
「そう!うー、うっ!脳は使いません!」
椰子男のへたくそ口笛で、みんなはゆるい踊りと言えない踊りを踊った。
これが、オクターブを感じるという事なのか?
とにかく、みんなの柔らかくなった身体には何やら不思議と息吹が戻ってきた感があった。
ばかばかしい間抜けなスッテップは、立っていた天使をまったく呆れさせた。
「あなた方の好きになさればいいでしょう。私はあなた方にあまり関わりたくなくなりました。
この危機の時にそのようなことができるのも、人間だけでしょう。」
天使は優雅に翼を拡げ天空に駆け上って行ってしまった。
「ふぁふぁふぁ、わしらは天使にまで見放された。」長老は抜けた歯で息を漏らして笑った。
犬治郎に閃くものが身体の中を走った。
絶体絶命の深刻さの原因を作り出していた自分をなんと内側から乗り越える者がある!これは誰なのか?
最後の日が五日だろうが一週間だろうがまったく時間の問題ではない。
「ぶざまなことぐらいでなんだ!みっともないぐらいでどうということもない。俺ほど始末におえない魂は惑うものだ。これが人間だ!」
長老も深々とうなずいた。
椰子男は、とぼけた口笛で相づちをうった。
「だがね、まちがいなく俺たちは真面目だ、ブヒン。」
土ブタが天に向かいニヤついた。


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